「新電力」についてご存じですか?
電気代を節約できるとか聞くけれど、なんとなく怪しそうだから敬遠している人や、新電力会社が多すぎて何から選べばいいか分からない人もいるんじゃないでしょうか。
そうした不安や疑問を持ってしまうのも当然。じつは2022年1月現在、新電力を扱う会社は733社もあります(参考:経済産業省 資源エネルギー庁 – 登録小売電気事業者一覧)。
中には、びっくりするくらい高額な解約違約金がかかってしまう会社や、以前よりも電気代が高くなってしまう会社なんてものもあります。当然、そんな会社は選びたくないですし、自分に合った新電力会社を選びたいですよね。
この記事では、かつて新電力の営業マンだった私が、新電力制度の仕組みや選び方のコツ、おすすめの新電力会社を紹介しています。
「営業マンが教える情報ってなんだか怪しい……」と思われるかもしれませんが、むしろ全国の新電力営業マンが知られると不利になる(=利用者にとってはお得な)情報盛り盛りにしてますのでご安心ください。
新電力(電力自由化)とは
まず初めに「新電力」とはなんでしょうか。
電気代が安くなるらしいけど、
地域の電力会社以外に変えちゃったら、停電が起きやすくなったりしないかな
という心配を抱く方もいらっしゃると思うので、まず初めに新電力の仕組みを簡単に解説します。
新電力とは、使った電気代の請求元を地域の電力会社(東京電力や関西電力など)から別の会社に変えるだけで、電気代が安く使えますよ、という制度です。
新電力制度は2016年にスタートしました。
それまでは、電力の発電・送電を行っている地域の電力会社(東京電力など)が電力の販売価格を決定していました。そのため、万が一、地域の電力会社が価格を高騰させようとした場合、利用者は泣く泣く高い電気代を払うしかありません。
このような独占状態を阻止するために、2016年、電力の小売部分を自由化しました。自由化により新電力会社は東京電力などから電気を大量に仕入れて販売することが可能になりました。
要するに、多くの会社が参入することで「うちの方が安いぞー!」と競い合うようになって、価格高騰が避けられるというわけですね。
新電力の肝は、電力の発電・送電は地域の電力会社が行い、小売の部分だけが自由化されているという点です。そのため、電気の設備や使い勝手は変わりません。
よくある心配として「停電になったらどうするの?」というものがありますが、従来通り地域の電力会社が対応してくれますので安心しましょう。
ただ、電気のアンペア数など(契約容量や契約種別)を変えたくなった場合、新電力切り替え済みだと対応が遅くなってしまったり、新電力会社によっては対応できない場合もあります。もしも契約容量の変更を考えている場合は、新電力への切り替え前に変更した方がいいかもしれませんね。
※詳細な仕組みに興味がある方は経済産業省のサイトを確認ください。
電気料金の内訳は「基本料金+従量料金+その他料金」
毎月届く電気明細をちゃんとみたことはありますか?
「電気代が高くなった」「先月は電気代が安かった」と何となく一喜一憂するのではなく、電気代のどの部分が高くなったのか/安くなったのかをを把握できると、新電力会社を選びやすくなります。
電気料金は次の6つの料金によって成り立っています。
それぞれ順番に見ていきましょう。
基本料金はアンペア数で変わる
まず、「基本料金はアンペア数で変わる」と覚えておきましょう。
「電気一度にたくさん使わないし、アンペア数見直そうかな」という話を聞いたことはありませんか? この「アンペア数の見直し」が「基本料金の見直し」だと言って過言ではありません。
各会社ごとにアンペア数に応じて基本料金を変えています。
たとえば東京電力の場合を見てみましょう。
このように、アンペア数が多ければ多いほど基本料金は高くなります。
ただ、低いアンペア数では、一度に使える電力量が限られてしまいます。なかには、「秋にはブレーカーが落ちなかったのに冬になってコタツや電気ストーブを使い始めたらブレーカーが落ちてしまった」という方もいますのでご注意を。
ひとり暮らしならば30A、3人以上なら40〜60Aが目安になります。
従量料金単価は使用量で変わる
電気料金は、使用量に応じて変化します。そして使用料金単価も、使用量によって変わります。
1kWhあたりの料金単価は、使用量が増えるにつれて段階的に高くなります。そのため、使用料金は「従量料金(量に従って変わる料金)」と呼ばれます。
たとえば上記単価で500kWh使う場合、従量料金は次のようになります。
120kWh × 19円88銭 (第1段階料金)
+ 180kWh × 26円48銭(第2段階料金)
+ 200kWh × 30円57銭(第3段階料金)
= 13,266円00銭(合計の従量料金)
料金単価が3段階にわかれていることから、自分が普段どれくらいの電力使用量なのかを把握することが大事になってきます。
たとえば普段300kWhも使わないような人なのに、3段階目(301kWh〜)に割引が多く入った新電力プランは旨味がありません。逆に300kWhを大きく超えるような人であれば、基本料金割引よりも3段階目への割引の効果が大きくなります。
自分が普段どれくらいの使用量なのかを知れば、新電力を選びやすくなります。
燃料調整額と再エネ賦課金は仕入れ値で変わる
「燃料費調整額」と「再生エネルギー発電促進賦課金(以下、再エネ賦課金)」については、ここでは簡潔に説明します。
というのも、毎月あるいは毎年変動するこれらの価格は、私たちがコントロールできるものではないからです。国や電力会社が設定するため、電気代節約には直結しません。そのため、電気代節約を第一に考えるのであれば、「燃料費調整額」や「再エネ賦課金」については知らなくても問題ありません。ざっくり流し読み程度でOKです。
燃料費調整額
燃料費調整額とは、火力発電に用いる燃料(原油や液化天然ガス、石炭)の仕入れ値や為替レートの変動を電気代に反映させたものです。仕入れ値が高くなれば燃料費調整額は高くなり、仕入れ値が安くなれば燃料費調整額も安くなります。
燃料費調整額は、電力会社が毎月定めます。極端な上昇にならないよう、「6月の燃料費調整額は1〜3月の燃料費から算定」というように、三カ月の仕入れ値をもとに設定されます。
日本では液化天然ガス、石炭、原油の順に多く使われています(参考:経済産業省 資源エネルギー庁 – エネルギー白書2021)。
このような化石燃料は、資源自体に限りがあり、かつ多くの温室効果ガスを発生させることが問題視されています。化石燃料を用いた発電から脱するため、環境に優しい再生エネルギーの使用が模索されてきました。
再生エネルギーによって発電された電気は、自身で用いる以外にも、電力会社に買い取ってもらうことも出来ます。ここで出てくるのが「再生エネルギー発電促進賦課金」です。
再生エネルギー発電促進賦課金
再エネ賦課金とは、電力会社が買い取る電気の費用を電気代に上乗せさせたものです。
「再生エネルギー」とくに太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスによって発電された電気は、定められた要件を満たすことで電力会社に一定価格で買い取ってもらうことが出来ます。この制度を「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」と言います。
この制度のもと、電力会社が買い取った「再生可能エネルギーによって発電された電気」の費用の一部を毎月の電気代に乗せて請求しています。この上乗せされた費用が再エネ賦課金です。燃料費調整額とは異なり、再エネ賦課金は毎月でなく1年単位で変更されます。
新電力会社を選ぶ3つのポイント
新電力(電力自由化)は2016年にスタートし、今や新電力会社は733社もあります(2022年1月時点、参考:経済産業省 資源エネルギー庁 – 登録小売電気事業者一覧)。
その中で、最適な新電力会社を選ぶには3つのポイントがあります。
それぞれのポイントを解説しつつ、中でもおすすめの新電力会社を8社紹介します。新電力営業によくある「大して割引がない」上に「高額な違約金が発生する」ような会社は紹介していませんのでご安心を。
※いずれも2022年1月時点、かつ東京電力送電地域の従量電灯B契約対応の料金を記載しています。お住まいの地域・環境によっては切替が出来ない場合もございます。ご了承ください。
基本料金が高いなら基本料金割引!
アンペア数によって基本料金が高くなるのが電気料金の当たり前ですが、アンペア数に関わらず基本料金を無料にしている会社も存在します。基本料金が高い契約であれば、間違いなく電気代が削減できます。
【信頼の実績】Looopでんき
- 基本料金無料
- 使用料金単価一律26.4円
- 契約者30万人超えの実績
【使うほどお得】Japan電力
- 基本料金無料
- 使用料金単価(やや特殊)
- 26.00円(1〜250kWh)
- 25.50円(251〜400kWh)
- 24.50円(400kWh〜)
- 使用量が増えると単価が安くなる?!
【最安値クラス】サステナブルでんき
- 基本料金無料
- 使用料金単価一律24.0円!?
- 基本料金無料の中では最安値かも
たくさん使うなら使用料金割引!
基本料金ではなく使用料金に割引が入る新電力も多くあります。月々の電気代が1万円を超え、2万円に届きそうな方であれば、使用料金割引の新電力会社を選んでみましょう。
【中部電力×大阪ガス】CDエナジー
- 使用料金単価(ベーシックでんきB)
- 19.78円(1〜180kWh)
- 25.47円(181〜300kWh)
- 26.38円(300kWh〜)
- ガスとセットだとさらに0.5%安
- 中部電力×大阪ガスが50%ずつ出資
【J:COMユーザーなら】J:COM電力
- 基本料金割引なし
- 使用料金単価
- 0.5%割引(1〜180kWh)
- 1.0%割引(181〜300kWh)
- 10.0%割引(300kWh〜)
- 使用料金3段階目単価脅威の10%割引
決め手がなければ特典で選べ!
毎月の電気代が高くないあなたにも朗報です。新電力へ切り替えているだけで特典を受けられる新電力会社もございます。決め手に欠けるのならば、特典付き新電力会社を選んでみてはいかがでしょうか。
【プレミアムプランが無料】マネーフォワードでんき
- 電気代総額3%引き
- 本来有料のマネーフォワードプレミアムが無料
【楽天ポイントも溜まる】楽天でんき
- 基本料金無料
- 使用料金単価一律26.5円
- 楽天ポイントがもらえる
【安い上にキャッシュバック】エルピオでんき
- 使用料金単価(スタンダードS 40Aの場合)
- 18.84円(1〜180kWh)
- 23.03円(181〜300kWh)
- 25.78円(301kWh〜)
- 11ヶ月使うと最大1.5万円キャッシュバック
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、
- 新電力とは
- 電気料金の仕組み
- 新電力を選ぶポイント
といったことを解説・紹介しました。……でも実は、新電力を選ぶ際に一番大事なことを伝え忘れていました。最後にそのことに触れて終わりたいと思います。
ずばり、新電力を選ぶ最重要ポイントとは、「解約違約金がかからないこと」です。
見過ごしてはいけないのが違約金。新電力によっては数千円、高いものであれば1万円以上の解約違約金がかかるものもあります。
電力”自由化”と言う以上、販売する側だけでなく選ぶ側(私たち)にも自由があった方が嬉しいですよね。引っ越しや同居などで急に電気契約を解約することもあるでしょう。そんなとき、違約金に縛られてしまっては元も子もないので、慣れないうちは違約金ゼロの新電力から選ぶのをオススメします。
ちなみに、今回紹介した新電力は、いずれも契約更新月以外の解約であっても解約違約金が発生しません。その上、どの新電力会社を選んでも「お得な新電力に変えたんだよ」とドヤ顔できる会社を揃えました。
「まだ地域の電力会社(東京電力など)から変えていないなあ」というひとは、ぜひ上記のような違約金0円の会社で新電力切替にチャレンジしてみてください。もしも今より好条件な会社が見つかれば、そのときまた変えればOK。そのための違約金0円。
上記を参考に、すてきな新電力ライフを送ってみてください。
このほか、わからないことがありましたら、当サイトの問い合わせや私のTwitterのDMに連絡ください。できる限り返答させていただきます。商品の押し売りなどはしませんので、気軽にご連絡ください。